■「根面う蝕」は歯の根に生じるむし歯
みなさん、こんにちは。
むし歯というのは、基本的に歯の頭の部分である「歯冠(しかん)」に生じるものです。
歯冠部は、お口の中に露出していて、さまざまな刺激を受けやすくなっています。
一方、歯の根っこの部分である歯根面は、あまりむし歯にはなりません。
正常であれば歯茎にしっかり守られているからです。ただ、人によっては、歯根面のむし歯である「根面う蝕」にかかりやすくなっているため注意が必要です。
▼歯周病が原因になる?
根面う蝕は、歯茎が下がり、歯根面が露出した人に発症しやすいむし歯です。
その背景には、重症化した歯周病があることが多いです。もちろん、加齢によっても歯茎は少しずつ下がっていくので、根面う蝕のリスクも上昇します。いずれにせよ、歯根面がむき出しになることは、口腔衛生上、不利に働くことが多いです。
なぜなら、歯根部にはエナメル質がないからです。
▼歯根部にはエナメル質がない
歯冠部には、人体で最も硬いエナメル質が存在しています。
酸に対しては弱い性質を持っているのですが、オーラルケアをしっかり行っていれば、そう簡単にむし歯になることはありません。
一方、歯根部には、エナメル質が存在しておらず、象牙質とセメント質のみで構成されています。これが歯根面のむし歯のリスクが高くなる理由です。
▼象牙質がむし歯になりやすい理由
エナメル質と象牙質とでは、ハイドロキシアパタイトと呼ばれる無機質の割合が大きく異なっています。エナメル質はその割合が97%に達するのに対し、象牙質は70%程度にとどまります。つまり、象牙質は酸によって溶けやすい有機質の割合が多いことから、むし歯のリスクも高くなっているのです。
根面う蝕を予防するには、まず歯根面を露出させないことが大切です。
つまり、歯周病を重症化させないことが最重要といえます。
その他、歯茎が下がる原因となる「過度なブラッシング」を控えるようにしましょう。
もうすでに露出してしまった歯根面に対しては、フッ素で歯質を強化しましょう。歯にフッ素を作用させると、「フルオロアパタイト」と呼ばれる強い構造を作り上げることができます。歯の再石灰も促され、むし歯のリスクを低減することが可能です。
▼まとめ
このように、根面う蝕というのは、歯茎が下がることでそのリスクが上昇します。
一度むし歯になると、あっという間に進行するため十分な注意が必要です。そんな根面う蝕を予防するのであれば、歯科医院で受ける「フッ素塗布」がおすすめですよ。